オンコロ的奇跡の連鎖 7 患者さんからの手記「大腸癌術後、腸間膜リンパ節転移からの生還」

この手記を寄せてくださった方は、52歳の男性で、初めてオンコロジーを受診された時は42歳でした。
大腸がんの術後に、腸間膜(お腹の中で胃腸が適切な位置を維持できるように、緩やかに胃腸を固定している膜状の組織)のリンパ節に転移がでて、あらゆる抗がん剤を試しても効果が上がらず、放射線治療でコントロールした方です。二つ目の転移がでることなく10年経過しています。
 
 

「大腸癌術後、腸間膜リンパ節転移からの生還」 
                        平成30年2月  T. M.

 
私が大腸癌になり手術を受けたのは平成13年の5月、もう17年も前のことになります。開腹手術にて大腸の3分の1を切除する形で治療を受けました。リンパ節転移も認められていたので、術後に5-FUという抗癌剤の治療を2年間にわたって受けていました。
平成16年の8月に胆石に対して腹腔鏡下で胆のう摘出手術を受けています。その時は特に指摘はされなかったのですが、平成18年の4月になってお腹にリンパ節が腫れていることが分かり、当初は外科的に切除しようということで試験開腹を行ないましたが、リンパ節が腫れている場所が小腸の腸間膜であり、しかもかなり大きなものであったため、外科的な手術をすると小腸をかなり広く切り取らないといけないこと、また、その場所を切除したとしても別の腸間膜にまたリンパ節が腫れてくる可能性があることなどから切除ではなく、抗癌剤の治療をということで約半年間mFOLFOX6という標準治療を受けました。
けれど、残念ながらリンパ節転移が全く小さくならなかったので、平成18年の10月からCPT‐11という強い薬とTS‐1という薬を組み合わせる形でさらに8回程受けましたがやはりリンパ節転移は小さくならず、平成19年の1月にオンコロジークリニックを受診することになりました。
術後の再発・転移で5cmくらいありましたが、PET-CTでこの1カ所だけしか所見がなかったので放射線治療をしっかりやってみることになり、2月から約1カ月間の放射線治療を受けました。経過観察のPET-CTを数カ月毎に繰り返したのですが、リンパ節転移がどんどん小さくなっていることを確認し、1年後には、ほぼ消失している状態になりました。
その時からすでに10年間経過していますが、新たな転移や再発の兆候は全く認められず、元気に仕事を続けています。術後の再発予防で行った抗癌剤治療も転移が出てから受けた強い抗がん剤治療も癌の治療にほとんど役に立っていなかったわけですが、放射線治療で癌と決別でき本当によかったと思っています。
なお、「明るいがん治療2」の160ページに載っているのも私の手記ですが、あの時からすでに9年近い時間が流れたことを思うと本当に感慨深いです。
植松先生はじめオンコロジークリニックのスタッフの皆様には今でも感謝の気持ちでいっぱいです。